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【Blender2.9】ハードサーフェスモデリングを始めよう!
こんにちは!
本記事では、3DCGソフト「Blender」を使った「ハードサーフェスモデリング」の始め方やコツについて紹介します!
「ハードサーフェスモデリング」とは?
「自動車」「ロボット」「兵器」「宇宙船」「コンピュータ」など「無機質で硬い人工物」のモデリングをまとめて「ハードサーフェスモデリング」と呼びます。
じつは言葉の明確な定義はないようですが、以下の英語の記事がわかりやすいので引用します。
「ハードサーフェスモデリングとは、自動車・武器・機械・および滑らかで(形状が)変わらない表面をもつ無生物を作るのに使われるモデリングの手法。」
「兵器・ロボット・武器・機械・構造物を作るのに理想的な手法のため、SFやシューティングゲームによく使われる」
Hard-surface modeling is a modeling technique used to model cars, armor, machines, and generally non-living objects that have smooth, static surfaces. This technique is greatly used in sci-fi and shooter video games because it’s ideal to make weapons, robots, armor, machines, and structures.
出典:All3DP Blender Hard-Surfes Modeling: 8 Best Tutorials & Guides
ハードサーフェスモデリングの始め方
つぎに、ハードサーフェスモデリングの始め方を紹介します!
一口に「ハードサーフェス」と言っても作りたい対象物によって、最適なモデリング方法が違います!
代表的なものは以下の2種類です。
ブーリアンモデリング
ブーリアンモディファイアを使用して、表面に凹みやパネルラインなどのディテールを追加するモデリング方法です。
3Dゲームに登場する武器やアイテムなど、形状は単純だけど複雑なディテールをもつ物体を作るのに最適です。
サブディビジョンサーフェスモデリング
サブディビジョンサーフェスモディファイアを使って、メッシュの押し出しで滑らかな曲面を作るモデリング方法です。
自動車・飛行機など複雑な曲面形状をもつものに最適です。
…とこんな感じで、作りたいものによって最適な手法は違います!
したがって、まずは自分が作りたいものを決めてから、対象物の作り方をレクチャーしてくれるチュートリアル動画やブログなどで作り方を学ぶことをおすすめします!
チュートリアル動画を参考にする
「ブーリアンモデリング」と「サブディビジョンサーフェスモデリング」それぞれについて、モデリング技術を学べるお勧めのチュートリアル動画を紹介します!
ブーリアンモデリングのおすすめチュートリアル動画
英語の動画ですが、Josh Gambrell氏のこちらのチュートリアル動画は初心者におすすめです!
ブーリアンモデリングでは、細かいディテールを追加・編集するのに便利な「Hard Ops/Box cutter」などの有料アドオンがよく使われますが、こちらの動画は完全にアドオンフリーです!
また、ブーリアンのショートカットキーやトポロジーの調整方法など、役立つテクニックを丁寧にレクチャーしてくれます!
Josh Gambrell “Simple vanilla modeling tutorial in Blender!” (Youtube)
上の動画を見て実際に作ってみた作品はこんな感じです!
本体の斜めのラインやパネルなどはブーリアンでできています。
サブディビジョンサーフェスモデリングのおすすめチュートリアル動画
「Vtuberの解剖学」のYouTubeチャンネル「Blenderの解剖学」で紹介するギターの作成の動画がおすすめです!
下絵をベースに滑らかな曲面形状をモデリングする手順を学べるので、ぜひご覧ください!
完成図はこんな感じです!
サブディビジョンサーフェスを使うことで、本体側面やネックの曲線がきれいに出ていますね。
三面図からモデリングする
実在する製品をモチーフにしたハードサーフェスモデリングには、三面図からモデリングする方法がおすすめです!
特に自動車や飛行機など複雑な曲面形状のものについて、三面図は正確な形を再現するのに必須です!
具体的な手順は、「Vtuberの解剖学」のこちらの記事で紹介していますのでご覧ください!
▼【下絵の設定方法:下絵を使ってモデリング】はコチラ!
ハードサーフェスモデリングのポイント・コツ
「リアル」で「美しい」ハードサーフェスを作るポイント・コツを5つ紹介します!
直線・直角・平行・円形・左右対称を取り入れよう!
ハードサーフェスモデリングの魅力は「人工的な美しさ」を表現できることだと思います!
身近な人工物を見ると、自然界にはあまり存在しない「直線」「直角」「平行」「円形」「左右対称」が多用されています。
たとえば、以下のようにパソコンやスマートフォンの画面フレームは「直角」「平行」な「直線」で構成されています。
また、こちらの自動車のホイールは「円形」で、放射状に伸びるスポークやボルトの配置は「左右対称」です。
これらの要素を3Dモデリングに取り入れることで、作品のリアリティが増して「人工的な美しさ」を表現できます!
サブディビジョンサーフェスで滑らかな曲面を作ろう!
人工物の基本は「直線」と「円」ですが、自動車や飛行機などには複雑で滑らかな曲面形状が使われています。
Blenderで滑らかな曲面を作るためには、先ほど紹介した「サブディビジョンサーフェスモディファイアー」を使用します。
▼【サブディビジョンサーフェスモディファイアーの解説】はコチラ!
以下は自動車のボンネットの例ですが、サブディビジョンを追加しスムーズシェードを選択することで、形状が滑らかになります。
ループカット&クリースを使って鋭いエッジを作ろう!
「サブディビジョンサーフェスモデリング」ではエッジを作ることで作品をよりリアルに美しくすることができます。
たとえば車のボディのボンネットの両サイドなどは鋭いエッジラインが印象的ですね。
エッジを出すためには、ループカットで頂点を追加したり、エッジを立てたい部分にクリースを指定したりします。
▼【ループカットの解説】はコチラ!
▼【クリースの解説】はコチラ!
たとえば自動車のボンネットの場合、以下のように2本のループカットを追加することで、鋭いエッジが作れます!
リアルな質感の作り方:マテリアルで表面仕上げを再現しよう!
現実に存在する工業製品の表面仕上げは、塗装をしている表面、研磨仕上げの表面、荒れた表面などさまざまです。
表面仕上げの違いをハードサーフェスのマテリアルで再現することで、リアルな質感が表現できます!
たとえば先ほどのブーリアンモデリングの作例では、表面状態の違いを考慮して以下のようにマテリアルの数値を調節しています(数値は好みで調節してください!)。
- 塗装をしている表面:メタリック:0、ラフネス0.5、クリアコート1.0
- 研磨仕上げの表面:メタリック:1.0、ラフネス0.1
- 荒れた表面:メタリック:0.8、ラフネス0.5
塗装をしている表面
研磨仕上げの表面
荒れた表面
また、バンプを追加することで、表面の凹凸や傷なども表現できます!
たとえば以下の作品例では、以下のようにマテリアルノードを使って傷を表現しています。
↑の作品はPonte Ryuurui氏のチュートリアル動画を参考に作成しました!
モディファイアでディテールを表現しよう!
ハードサーフェスモデリングでは、質感を出すためにディテールの表現が重要です!
ディテールの表現に便利なモディファイアをいくつか紹介します!
ベベルモディファイア
基本的に金属製品の角部はケガをしないように「面取り」がつけられています。
Blenderでは、辺を選択してショートカットキー「Ctrl+B」でベベルをかけることによっても面取りを表現できますが、
こちらのようにベベルモディファイアを追加することによってすべての辺に簡単にベベルをかけることができます。
▼【ベベルモディファイアーで滑らかな角に】はコチラ!
ブーリアンモディファイア
ブーリアンを使うことによって、へこみ、穴やパネルラインなどを表現できます!
以下のように「差分」で穴を、「交差」でパネルラインを表現できます。
▼【ブーリアンモディファイアーで装飾作成】はコチラ!
配列モディファイア
配列モディファイアを使うことで、以下のようにスイッチ類やボルトなどのパーツを簡単に増やすことができます!
▼【配列モディファイアーでたくさん並べる】はコチラ!
https://vtuberkaibougaku.site/2020/09/19/blender-array/
ハードサーフェスモデリングにおすすめ!無料アドオン
ハードサーフェスモデリングに役立つBlender標準搭載アドオンを5つ紹介します!
Bool Tool
簡単にブーリアンを追加・適用できるようになるアドオンです。
使用するには、以下のように「編集」→「プリファレンス」→「アドオン」から「Bool Tool」のチェックをONにしてください。
メニューから「Auto Boolean」(自動でブーリアンモディファイアを適用し不要オブジェクトを削除)、「Brush Boolean」(ブーリアンモディファイアを追加)が選べます。
また、Bool Toolを有効にすることでショートカットキーが使えるようになり作業性がUPします!
▼【Bool Tool:ショートカットキーでブーリアン】はコチラ!
LoopTools
メッシュを自動で変形してくれるアドオンです。
使用するには、Bool Toolと同様に「編集」→「プリファレンス」→「アドオン」から「Mesh:LoopTools」を有効化します。
たとえば、以下のように編集モードで変形するメッシュを選択し、右クリック→LoopTools→「円」を選択するとメッシュを円形に変形してくれます。
LoopToolsには、他にもいろいろ機能があるので、以前紹介したこちらの記事もあわせてご覧ください!
▼【Loop Tools:支援アドオンと言えばコレ】はコチラ!
Bolt Factory
さまざまな形のボルトを追加できるアドオンです。
使用するには、「編集」→「プリファレンス」→「アドオン」から「Add Mesh:BotFactory」を有効化します。
こちらのように、六角やドーム型など、さまざまな形状のボルトやナットを追加できます!
▼【BoltFactory:ネジ/ボルト/ナットを瞬時に作成】はコチラ!
Add mesh: Extra objects
さまざまなメッシュオブジェクトを追加できるアドオンです。
使用するには、「編集」→「プリファレンス」→「アドオン」から「Add mesh: Extra objects」を有効化します。
以下のように「歯車」を追加できるのでハードサーフェスモデリングに便利です!
▼【Extra Object:様々なオブジェクトを追加】はコチラ!
Add curve: Extra objects
↑と名前が似ていますが、こちらはさまざまなカーブオブジェクトを追加できるアドオンです。
使用するには、「編集」→「プリファレンス」→「アドオン」から「Add curve: Extra objects」を有効化します。
以下のように簡単に「ばね」を作れます!
まとめ
かなり長い記事になってしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました!!
こちらの記事で、ハードサーフェスモデリングのことを知って、始めたいと思っていただけたらうれしいです!
以下は今回のまとめです。
- 始め方:まずは作りたい対象を決める→チュートリアル動画・三面図を元に作る
- ハードサーフェスモデリングのポイント・コツ
- 直線・直角・平行・円形・左右対称を取り入れよう!
- サブディビジョンサーフェスで滑らかな曲面を作ろう!
- ループカット&クリースを使って鋭いエッジを作ろう!
- リアルな質感の作り方:マテリアルで表面仕上げを再現しよう!
- モディファイアでディテールを表現しよう!
- おすすめ標準搭載アドオン
- Bool Tool
- LoopTools
- Bolt Factory
- Add mesh: Extra objects
- Add curve: Extra objects