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【Blender 3.0】ビルを作って、生やして、…壊そう!
はじめに
こんにちは!
今回は、3DCGソフト「Blender」で建物のビルを作成する方法について紹介します。
また、ビルを沢山生やして街を作る方法や、ビル破壊アニメーションの作り方についてもまとめています。
風景・背景のモデリングで役に立つと思いますので、ぜひ以下ご一読ください。
ビルに限らず、建物の作成に便利なアドオンについてはYouTubeでも取り上げているので、合わせてこちらもチェックしてみてください!
ビルの作り方
まず、比較的簡単にビルを作る方法を2つ紹介します。
Building Toolsアドオンで作る
「Building Tools」という無料アドオンを使って、簡単にビルをはじめとする建物を作ることができます。
ダウンロード・インストール方法
こちらの開発者様のGithubページからダウンロードできます。
ちょっとわかりづらいですが、右上の緑色の「Code」をクリックすると「Download zip」が表示されるので、そこからZipファイルをダウンロードします。
ダウンロードしたzipファイルからアドオンをインストール・有効化する方法については、こちらの記事を参照ください。
ビルの作り方
Building Toolsをインストールすると、こちらのように「N」キーから表示されるメニューに「Building Tools」タブが追加されます。
Building Toolsを使ってビルを作る手順を紹介します。
左下に表示されるメニューから床の形状(長方形、円形など)を選びます。
追加したい壁の面を選んで「Add window」などを選択すると、窓などが追加されます。
以上の手順を繰り返すことで、こちらのように簡単にさまざまな形のビルを作ることができます。
窓や屋根の形を変えたり、バルコニーを追加したりするなど、Bulding Toolsを使って自分だけのオリジナルのビル作りを楽しんでみてはいかがでしょうか。
Building Toolsの使い方について、詳しい説明はこちらの記事を参照ください。
画像テクスチャから作る
ビルを簡単に作る2つ目の方法を紹介します。
写真を貼った平面メッシュを押し出して、立体的な建物を作る方法です。
現実の写真をベースに作るので、簡単にリアルな建物を作ることができます。
素材の入手先
まず、ビルの製作に使用する、フリー画像をダウンロードできるサイトを紹介します。
非常に有名ですが、Textures.comというサイトがおススメです。
近代的なオフィスビルや、生活感漂うマンション風のビルなど、さまざまなビルの画像をダウンロードできます。
無料と有料のアカウントがあり、無料会員は1日にダウンロードできる画像の数は決まっていますが、有料会員は無制限かつ、高画質のプレミアム画像をダウンロードできるようです。
3Dモデルのテクスチャ用としては商用利用可能ですが、画像の再配布・販売は禁止されているのでご注意ください
(詳しくは“terms-of-use”(利用規約)のページをご確認ください)。
今回ビル製作に使用する画像としては、いちばん粗いもので十分ですので、気に入ったものをDLしてみてください。
アドオンを有効化する
作成作業に入る前に、標準アドオン「Import Images as Planes」を有効化しておきます。
こちらのアドオンを使用することで、こちらのような感じで画像を「テクスチャを貼った板ポリ」としてインポートすることが出来ます。
UVマッピングの手間を省くことができるので、建物を大量生成するのに便利です。
作成手順
ビルの作成手順を紹介します。
背景を反射するようになります。
複数のビルを作って並べるだけで、こちらのように簡単に街並みを作ることができます。
ビル街の作り方
こちらのようなビル街を作る方法を紹介します。
まず、こちらのようにビルを何種類か用意しておきます。
先ほど紹介した、「画像テクスチャから作る」方法で作りました。
今回は、3種類のテクスチャを使って、それぞれ「大」「中」「小」3種類の大きさで計9個作りました。
作ったビルは、アウトライナー上で名前を付けて、「M」キーで新規コレクションに保存しておきます。
ビルの生やし方
大量にビルを生やしてビル街を作るには、「パーティクル」か「ジオメトリノード」を使います。
本記事では、パーティクルを使ってビル街を作る手順を説明します。
パーティクルの基本的な使い方については、こちらの記事で紹介していますので、あわせてご覧ください。
まず、平面を追加し、パーティクルプロパティから新規追加、「ヘアー」を選択します。
レンダリング方法に「コレクション」を設定し、先ほどビルを保存したコレクションを選択します。
パーティクルの設定をします。
こちらの「詳細設定」にチェックを入れておきます。
こちらのように、ビルの本数、向きを設定します。
「使用数」にチェックを入れて、大きいビルほど本数を少なくすると、街並みがよりリアルに見えると思います。
レンダリングするときに元のオブジェクトが見えないように、コレクションのチェックを外しておきます。
(パーティクルはそのまま表示されます。)
「スモッグ」を表現するために、ボリュームを追加します。
立方体オブジェクトを追加して、ビル街を覆うように拡大します。
マテリアルを追加し「ボリュームの散乱」を設定(Cyclesの場合は密度は0.05~0.1に設定すると良いと思います)すると、スモッグが出来ます。
ボリュームマテリアルの使用方法については、こちらの記事でも紹介しています。
あわせてご参照ください。
最終的なレンダリング結果はこちらです。
ビルの種類を増やしたり、高速道路などを追加するとさらにリアルになると思うので、皆さんも試してみてください!
また、ジオメトリノードを使ってビル街を作ることもできます。
詳しい方法については、こちらのチュートリアル動画をご覧ください。
ジオメトリノードの基本的な使い方については、こちらの記事で紹介していますので、あわせて参照ください。
夜景の作り方
先ほど紹介したビル街のワールド背景を暗くして、窓に放射マテリアルを設定することで、こちらのように夜景を表現できます。
窓のマテリアルは、先ほど「ビルの作り方」で紹介した窓のマテリアルをベースに、こちらのようにプリンシプルBSDFの「放射」のカラーと強さを設定しました。
- 放射カラー:ボロノイテクスチャ(ランダムさ0、スケールは窓のサイズに合わせて調節)とカラーランプ(補間方法:一定)をつなぎました。
- 放射の強さ:3に設定しました。
マテリアルノードはこちらです。
放射マテリアルの使い方は、こちらの記事で紹介していますので参考にしてみてください。
また、高いビルにはこちらのように四隅に赤い「航空障害灯」を追加すると、よりリアルになります(マテリアルは放射シェーダーを使いました)。
レンダリング結果はこちらです。
さらに、こちらのようにコンポジットノードでグレアや色補正などを追加すると、光の輝きを表現できます。
コンポジットノードの基本については、こちらの記事で紹介していますので、あわせて参照ください。
ビル破壊アニメーションの作り方
こちらのようなビルの壁を破壊するアニメーションを作る方法を紹介します。
作成する手順はコチラです。
- ビルの壁の設定。
- Cell Fractureでビルの壁をバラバラにする。
- リジッドボディ&リジッドボディコンストレイントを設定する。
- 壁に衝突させるオブジェクトを追加する。
- シミュレーションで炎と煙を追加する。
- アニメーションをレンダリングする。
少々手間がかかりますが、順を追って説明します。
手順1.ビルの壁の設定
先ほど紹介した「テクスチャから作ったビル」を使用します。
編集モードでビルの壁1面を選択し、「P」で別オブジェクトに分離します。
壁のテクスチャのマッピング方法も修正しておく必要があります。
「Import Images as Planes」を使って作った壁にはUVマッピングが適用されていますが、実は次の手順で「Cell Fracture」をそのまま使うと、こんな風にUVマップが崩れて壁の模様がぐちゃぐちゃになってしまいます。
ちょっと面倒ですが、以下のように、壁のテクスチャをUVマッピングからオブジェクトマッピングに変更します。
以上で、壁の設定は完了です。
手順2.Cell Fractureでビルの壁をバラバラにする。
つぎに、Blender標準アドオンの「Cell Fracture」でビルの壁をバラバラにします。
「編集」→「アドオン」から「cell」と検索すると「Cell Fracture」が出てくると思います。
こちらにチェックを入れてください。
Cell Fractureの使い方については、こちらの記事でも紹介していますので、あわせて参照ください。
壁オブジェクトを選択して、画面左上の「オブジェクト」→「クイックエフェクト」→「Cell Fracture」を選択します。
破片の個数を200程度に設定して実行すると、壁がバラバラに分割されます。
生成された壁の破片のオブジェクトは、こちらのように新規コレクションにまとめておくと便利です。
手順3.リジッドボディ&リジッドボディコンストレイントを設定する。
元の壁のオブジェクトは非表示にします。
破片のオブジェクトを1個アクティブにした状態で、残りの破片のオブジェクトをすべて選択します。
「オブジェクト」→「リジッドボディ」→「アクティブ追加」で、アクティブオブジェクトにリジッドボディを追加します。
さらに、「オブジェクト」→「リジッドボディ」→「アクティブからコピー」で、残りの破片のオブジェクトにもリジッドボディを追加します。
試しに、平面オブジェクトを壁の下に追加し、「物理演算プロパティ」からリジッドボディ(パッシブ)を追加してみます。
タイムラインを再生すると、こちらのように壁全体が落ちて砕けるのがわかります。
リジッドボディの基本的なシミュレーションの方法については、こちらの記事を参照ください。
今回は、壁中央の破片を爆破で吹き飛ばし、それ以外は壁として残すことにします。
そのため、こちらのように中央以外の破片を選択し、「ダイナミック」のチェックを外し、「アニメ」のチェックをONにして、それぞれ右クリックで「選択にコピー」します。
すると、中央部以外の破片には物理演算が適用されず、壁として残るようになります。
また、爆発の瞬間まで破片を固定しておきたいので、「リジッドボディコンストレイント」を追加します。
破片全体を選択した状態で、「リジッドボディ」→「接続」を選択すると、リジッドボディコンストレイントの設定されたエンプティオブジェクトが追加されます。
追加されたエンプティオブジェクトをすべて選択します。
「物理演算プロパティ」→「リジッドボディコンストレイント」→「設定」で、「破壊可能」にチェックを入れて右クリックで「選択にコピー」します。
すると、破片が固定され、タイムラインを再生しても破片が飛ばなくなります。
手順4.壁に衝突させるオブジェクトを追加する。
リジッドボディを壁の内側から衝突させて、破片を外側に飛ばします。
まず、UV球を追加し、「リジッドボディ」→「パッシブ」を設定します。
いくつかキーフレームを追加します。
まず、「アニメ」にチェックを入れて、オブジェクトを壁の内側に移動します。
38フレーム目でビューポート上で「I」キーを押して、オブジェクトの「位置」にキーフレームを挿入します。
つぎに、40フレーム目でUV球を壁上に移動させて、「I」→「位置」でキーフレームを挿入します。
また、このとき「アニメ」の横の「◆」を選択してキーフレームを挿入します。
さらに、41フレーム目で、「アニメ」のチェックを外し、キーフレームを挿入します。
すると、こちらのように壁の破片が吹き飛ぶアニメーションができます。
手順5.シミュレーションで炎と煙を追加する。
爆発を表現するために、流体シミュレーションで煙と炎を追加します。
こちらのように、ISO球を壁の内側に追加して、「クイックエフェクト」→「クイック煙」を追加します。
生成されるドメインは、十分な大きさに拡大しておきます。
流体シミュレーションによる爆発の作り方は、こちらの記事で紹介しているので詳細はこちらをご覧ください。
以下のように、フローとドメインの設定をします。
フロータイプは「火炎+煙」、「燃料」は10に設定します。
ドメインの分割の解像度は64、開始/終了フレームは40/150、タイプは「全て」に設定します。
(タイムラインの最終フレームも150に設定しました。)
また、炎と煙が内から外に流れるように、このように「フォースフィールド」→「風」を追加し、壁の外側に向けます。
タイムラインを再生すると、こんな感じで煙が外に流れていきます。
炎を表現するには、こちらのようにドメインに設定されているプリンシプルボリュームの「黒体の強度」を3程度にすればOKです。
こちらの記事で紹介しているマテリアルを使用することで、よりリアルな炎を表現することができます。
壁を爆発させるのに使ったUV球とフローのICO球は、レンダリングで見えないように、マテリアルのアルファを0にして透明にしておきます。
手順6.アニメーションをレンダリングする。
最後に、作ったビル破壊シーンをアニメーションとして出力します。
アニメーションのレンダリング方法は、以前こちらの記事で紹介しているのでこちらをご覧ください。
「出力プロパティ」でこちらの設定をすることで、MP4形式でアニメーションレンダリングできます。
最終的な結果はコチラです!
ビルの内部構造を作りこんだり、パーティクルとして多くの瓦礫を飛ばしたりすれば、よりリアルな爆発シーンになると思います。
いろいろと手順が多くて読む方も大変だったと思いますが、ここまで読んでいただきありがとうございました!
ちなみに、今回紹介したビルの破壊方法は、こちらのチュートリアルを参考にしました。
英語ですが、すごくリアルな爆破シーンを作る方法を紹介しているので、興味がある方はチャレンジしてみてください!
ビル作成に便利なアドオン
最後にビル作成に便利なアドオンを紹介していきたいと思います。
Real City – ビルを簡単に大量追加!
リアルなビルを簡単に追加できるアドオンです。
ノードで作成されているので、お好みのカスタマイズも可能です。
詳しくは以下の記事を参考にしてみてください。
Buildings Generator
簡単に都市部のビルを生成できます。
ビル群を作成することもこのアドオンを使えば簡単にできます。簡易的なモデルでそこまでカスタムできませんが、無料でダウンロード可能です。
詳しくは以下の記事を参考にしてみてください。
まとめ
今回、ビルやビル街の作り方、そしてビルの破壊シーンの作り方を紹介しましたが、いかがでしょうか?
ビルを壊すのは、リジッドボディ(コンストレイント)や流体シミュレーションが出てきて大変だと思いますが、ビルを作るのは比較的簡単なので、初心者の方にもとっつきやすいと思います。
まずは手を動かしてチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
最後に、今回のまとめです。
- ビルの作り方
- Building Toolsアドオンで作る
- 画像テクスチャから作る
- おすすめサイトの紹介
- Import Images as Planesの使用方法
- ビル街の作り方
- ビルの生やし方…パーティクルかジオメトリノードを使う(本記事ではパーティクルを使用)。
- 夜景の作り方…放射マテリアルを設定。
- ビル破壊アニメーションの作り方
- 手順1.ビルの壁の設定。
- 手順2.Cell Fractureでビルの壁をバラバラにする。
- 手順3.リジッドボディ&リジッドボディコンストレイントを設定する。
- 手順4.壁に衝突させるオブジェクトを追加する。
- 手順5.シミュレーションで炎と煙を追加する。
- 手順6.アニメーションをレンダリングする。