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「Blender 4.3」の新機能を紹介!
こんにちは!
今回は、2024年11月19日に正式リリースされた、フリーの3DCGソフト「Blender」の新バージョン「Blender 4.3」の新機能について紹介したいと思います!
バージョンアップに伴って数多くの機能・改善事項が追加されましたが、その中で注目すべき内容をピックアップし、実際に触ってみながら紹介します!
参考:Blender4.3 公式リリースノート
Blender 4.3をインストールしよう!
Blenderは、オープンソースの統合型3DCGソフトで、誰でも無料で使うことができます!
今回紹介する最新バージョンのBlender 4.3では、スカルプト・ペイントの新しいブラシワークフロー「ブラシアセットシステム」や新しいグリースペンシルシステムなど、大幅なアップデートが加えられています。
まずは、Blender公式ページから、Blender 4.3をダウンロードしましょう!
Windowsのインストール版はダウンロードページの上のリンクから、それ以外のバージョン(macOS, Linux, Portable版など)は下のリンクからダウンロードできます。
Blenderのインストール・基本設定については、コチラの記事を参考に実施してみてください。
Blender 4.3の主要な新機能・変更点はコチラ!
本記事では、今回のバージョンアップの目玉となる以下の新機能について紹介します。
- ブラシアセットシステム
- すべてのブラシをアセットライブラリで一括管理!
- スカルプト
- テクスチャペイント
- グリースペンシル
- 新しいグリースペンシルシステム
- 以前のバージョンとの違い
- レイヤーグループ
- 消しゴムツールの変更
- 塗りつぶしグラデーションツール
- Blender 4.2以前のバージョンとは互換性がないので注意!
- ジオメトリノードの新機能
- For Each Elementゾーン
- グリースペンシル
- ギズモノード
- Eeveeの新機能
- ライト・シャドウリンキング
- UVの新機能
- 新しいアンラッピング方法の追加
- マテリアルの新機能
- メタリックBSDF
- Gabor Texture(ガボールテクスチャ)
- ボリュームの散乱の位相関数
- UIの機能改善
- エリアドッキング
- プレビューの表示
これらの変更によって、以前のバージョンと比べてBlenderでできることの幅が広がっていますので、ぜひBlender4.3をインストールして使ってみていただければと思います。
上記でピックアップした以外にも、Blender4.3では数多くの変更点があります。
Blender4.3の全アップデート内容一覧・詳細については、コチラのリリースノートを参照してください。
https://developer.blender.org/docs/release_notes/4.3
ブラシアセットシステム
Blender 4.3では、スカルプト、テクスチャペイント、グリースペンシルのブラシシステムが刷新されましたので、まずはその点について紹介します!
すべてのブラシをアセットライブラリで一括管理!
Blender 4.3では、スカルプトやテクスチャペイントなどで使用するブラシが、「アセットブラウザー」で管理するアセットとして再定義されました。
Blender 4.3のアセットブラウザーを開くと、こちらのように「ブラシ」の項目が追加されていて、ペイントやスカルプト用のブラシがデフォルトでアセットライブラリに登録された状態になっています。
オブジェクト・マテリアル・ワールド背景などを、自由に呼び出してシーン上に配置できる機能「アセットブラウザー」について、詳しい説明はこちらの記事をご覧ください。
次に、スカルプト、テクスチャペイント、グリースペンシルの各モードでブラシの機能がどう変わったか紹介していきます!
ブラシがアセットライブラリに置き換えられただけでなく、新しい機能を持ったブラシも追加されているので、あわせて紹介します!
スカルプト
スカルプトでは、従来のバージョンでは左端のツールバーに表示されていたブラシの一覧が、Blender 4.3では下端に別のツールバーとして表示されています。
この下端のツールバーは「カタログセレクタ」という名前で、こちらのように隠したり再表示したりすることができます。
「ドロー(ショートカットキー:V)」、「クリース(Crease Polish)(ショートカットキー:Shift+C)」など、スカルプトでよく使われるブラシは以前と同じショートカットキーのまま使えます。
また、こちらも以前のバージョンから引き継がれた機能ですが、「Shift+スペース」をクリックすると、ブラシ一覧が表示されるのでおすすめです。
ちなみに、今回の更新でクロスシミュレーションを行うブラシがいくつか追加されて、こちらのように簡単に布のシワや動きを表現できるようになりました。
洋服のシワやカーテンなどを表現するのに便利な機能なので、ぜひ使ってみてください。
粘土のようにオブジェクトを造形する「スカルプト」の基本的な使い方については、以前のバージョンですがコチラで解説しているので、あわせて参考にしてみてください。
テクスチャペイント
Blender 4.3のテクスチャペイントでもスカルプトと同様に、ウィンドウ下端にブラシ一覧が「カタログセレクタ」として表示されるようになりました。
従来のバージョンでは、ツールバー(ドロー、スメア、マスクなど)とブラシ設定(ストローク、減衰など)をそれぞれ選択する必要がありました。
しかしBlender 4.3ではブラシアセットを選択するだけで、ツールとブラシ設定の切り替えを一度に行えるようになりました。
Blender 4.3で追加されたブラシ「Erase Hard」「Erase Hard Pressure」「Erase Soft」を使うことで、こちらのように簡単に透過テクスチャの作成(アルファ抜き)ができるようになりました。
3Dモデルにペイントする「テクスチャペイント」の基本的な使い方については、以前のバージョンですがコチラで解説しているので、あわせて参考にしてみてください。
グリースペンシル
Blender 4.3のグリースペンシルもスカルプト・テクスチャペイントと同様に、ウィンドウ下端にブラシ一覧が「カタログセレクタ」として表示されるようになりました。
Blender 4.3では、グリースペンシルもテクスチャペイントと同様に、ブラシアセットを選択するだけで、ツールとブラシ設定の切り替えを一度に行えるようになりました。
「Airbrush」「Ink Pen」などのさまざまなペンツールの他、消しゴムやTintなどアセットが充実しています。
ちなみに、グリースペンシルはブラシアセット以外にも全面的にシステムが刷新されたので、次のセクションで変更内容について説明します。
絵を描くように2D・3D空間上にモデリングできる「グリースペンシル」の基本的な使い方については、以前のバージョンですがコチラで解説しているので、あわせて参考にしてみてください。
新しいグリースペンシルシステム
グリースペンシルはブラシアセット以外にも全面的にシステムが刷新されたので、さまざまな変更点について紹介します。
レイヤーグループ
Blender 4.3では、「レイヤーグループ」が追加されて、複数のレイヤーをグループ化できるようになりました。
さまざまな消し方が可能に
消しゴムツールがブラシアセット化されて、「Eraser Hard」「Eraser Point」「Eraser Soft」「Eraser Stroke」の4種類の消し方ができるようになりました。
- Eraser Hard…従来の消しゴムと同様
- Eraser Point…グリースペンシルオブジェクトのポイントを削除
- Eraser Soft…従来の消しゴムツールより薄く消す
- Eraser Stroke…グリースペンシルのストローク全体を削除
塗りつぶしグラデーションツール
「フィル」で塗りつぶしたグリースペンシルオブジェクトにグラデーションで色を付ける際に、「グラデーションツール」を使って任意の方向にグラデーションを付けられるようになりました。
マテリアルプロパティで「フィル」のスタイルを「グラデーション」にし、編集モードの「グラデーション」を選択してグラデーションをかけたい方向にマウス左クリックで、グラデーションの向きを調整できます。
Blender 4.2以前のバージョンとは互換性がないので注意!
最後に大事な注意点ですが、Blender 4.3のグリースペンシルオブジェクトはBlender 4.2以前のバージョンとは互換性がないとのことです。
当方で確認したところ、一応Blender 4.3で作成したblendファイルをBlender 4.2で開けましたが、エラーメッセージが出てしまいました。
ワークフロー上どうしてもBlender 4.2以前のバージョンで制作を行う必要がある場合は、Blender 4.3のグリースペンシルを使うのは避けた方がよいでしょう。
ジオメトリノードの新機能
Blender 4.3では、ノードを使ってオブジェクトを編集できる「ジオメトリノード」にも新たな機能が追加されたので、紹介します。
ノードを使ってモデルの形状などを編集できる「ジオメトリノード」の基本的な使い方については、以前のバージョンですがこちらの記事にまとめたので参考にしてみてください。
For Each Geometry Element Zone
「For Each Geometry Element Zone」は、「要素の数だけループを回す」ジオメトリノードです。
オブジェクトの頂点がもつ0から始まる要素番号に対して、以下のようなプログラム処理を行うイメージです。
このノードを使うことで、例えば以下のようにカーブポイント上に数字を生成して時計を作ることができます。
要素番号をランダムシードに割り当てるなど、大量のオブジェクトをランダムに生成したい場合に役立ちそうです。
グリースペンシル
Blender 4.2までは、グリースペンシルオブジェクトはジオメトリノードに対応していませんでしたが、Blender 4.3からは対応するようになりました。
たとえばこちらのように、グリースペンシルをカーブに変換してジオメトリノードで編集し、グリースペンシルに再変換する、といった使い方ができます。
ギズモノード
Blender 4.3では、ギズモ(オブジェクトの移動や回転、スケール変更などの操作を可能にする矢印・ダイヤル状の3Dアイコン)を使って、ジオメトリノードのパラメータを調整できるようになりました。
「ギズモノード」を使うことで、こちらのようにオブジェクトのスケールや回転をギズモを使って調整することができます。
Eeveeの新機能
Blender 4.2ではEeveeの機能が大幅に刷新されましたが、今回のBlender 4.3へのアップデートでさらに新機能が追加されたので紹介します!
なお、高速でレンダリングできるレンダラー「Eevee」の進化版「Eevee NEXT」について、Blender 4.2でのアップデート内容についてはこちらの記事をあわせて参照ください。
ライト・シャドウリンキング
「ライトリンキング」は、オブジェクト毎にライティングの影響をON・OFFできる機能です。
もともとCyclesのみの機能でしたが、Blender 4.3ではEeveeも対応になりました。
こんな風に、ライトオブジェクトのオブジェクトプロパティ→「シェーディング」→「ライトリンキング」にオブジェクトを追加・チェックを切り替えることで、ライティングしたいオブジェクトのみ照らすことができます。
また、オブジェクト毎にライトオブジェクトによってできる影をON・OFFできるシャドウリンキングもBlender 4.3でEevee対応になりました。
ちなみに、「ライトリンキング」「シャドウリンキング」の機能は、CyclesではBlender 4.0から使えるようになっています。
Cyclesでの使用方法については、こちらのリンク先の記事を参照下さい。
UVの新機能
Blender 4.3では、「UV展開」の機能が改善されたので、実際に使ってみて紹介したいと思います!
テクスチャをUV平面にマッピングする「UV展開」の基本的なやり方については、こちらの記事を参照してください。
新しいアンラッピング方法の追加
UV展開方法について、従来の「アングルベース」に加えて、「等角」「最小ストレッチ」の2種類の方法が追加されました。
特に「最小ストレッチ」は反復計算を行うことで、従来の方法と比べて歪みを最小にできる方法ですので、より歪みが小さいUVを作りたい方にオススメです。
マテリアルの新機能
Blender 4.0へのアップデートで、マテリアルノードにも大幅な変更があったので紹介します!
オブジェクトの素材の色や質感を調整できるマテリアルノードの基本については、こちらの記事を参照してください。
メタリックBSDF
金属を表現する専用のシェーダーノードとして「メタリックBSDF」が追加されました。
金属光沢を、プリンシプルBSDFよりも物理的に正確に表現することができます。
以下の画像はプリンシプルBSDFとメタリックBSDFを比較したものですが、メタリックBSDFの方は若干上の面が黒っぽく見えると思います。
Gabor Texture(ガボールテクスチャ)
Blender 4.3では、ノイズの1種である「Gabor Texture(ガボールテクスチャ)」ノードが追加されました。
「値」「位相」「強度」の出力があり、こちらのように規則的な模様を出力することができます。
ガボールテクスチャを使うことで、たとえばこちらのように砂丘のような模様を描くことができます。
ボリュームの散乱の位相関数
大気や水などによる光の散乱を表現できる「ボリュームの散乱」ノードに、さまざまな散乱方法を表現できる「位相関数」が追加されました。
位相関数は以下の5種類ですが、Henyey-Greenstein以外はCyclesレンダーのみ対応です。
- Henyey-Greenstein: シンプルで広く使用されている位相関数。生物組織における散乱を近似するのに役立つ。
- Fournier-Forand: 水中環境での光の散乱を表現するのに適している(Cyclesのみ)
- Draine:星間塵の散乱を表現するのに適している(Cyclesのみ)
- Rayleigh:地球の大気圏における太陽光の散乱など、光の波長よりも小さいサイズの粒子による散乱(Cyclesのみ)
- Mie:雲や霧など、光の波長よりも大きいサイズの粒子による散乱(Cyclesのみ)
以下のように、出力結果の印象はかなり変わってきますので、上の説明を参考に、表現したいシーンにあわせて使い分けると良いでしょう。
UIの機能改善
最後に、ユーザーインターフェース(UI)の主な改善点を紹介します。
エリアドッキング
Blender 4.2以前のバージョンでは、ウインドウ上の各エリアの四隅にマウスカーソルを乗せると「+」ボタンが表示され、上下に動かすことでウインドウを分割・統合することができました。
しかし、この機能は慣れないと使いため、右クリックで「エリア分割」「エリア統合」を使ってエリアの追加・統合をしている方も多いのではないでしょうか。
Blender 4.3では、エリアの四隅に表示される十字ボタンをドラッグした際の操作が直感的にわかりやすくなり、エリアの分割・統合、交換、別ウインドウへの分離がスムーズにできるようになりました。
プレビューの表示
細かい変更点ですが、画像エディター上でファイル名にマウスカーソルを乗せると、出力結果のプレビュー、画像サイズ、画像形式が表示されるようになりました。
表示する画像を切り替える際に少し便利になりました。
まとめ
Blender 4.3で新しく追加・変更されたコチラの機能について、簡単に使い方・使用例を解説してみました。
どれも便利で面白い機能なので、ぜひ皆さんもBlender 4.3をインストールして試してみてください!
Blender 4.3の主要な新機能まとめ
- ブラシアセットシステム
- 新しいグリースペンシルシステム
- 以前のバージョンとの違い
- レイヤーグループ
- 消しゴムツールの変更
- 塗りつぶしグラデーションツール
- Blender 4.2以前のバージョンとは互換性がないので注意!
- ジオメトリノードの新機能
- For Each Elementゾーン
- グリースペンシル
- ギズモノード
- Eeveeの新機能
- ライト・シャドウリンキング
- UVの新機能
- 新しいアンラッピング方法の追加
- マテリアルの新機能
- メタリックBSDF
- Gabor Texture(ガボールテクスチャ)
- ボリュームの散乱の位相関数
- UIの機能改善
- エリアドッキング
- プレビューの表示