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「Blender 4.4」の新機能・変更点を紹介!

こんにちは!
今回は、2025年3月18日に正式リリースされた、フリーの3DCGソフト「Blender」の新バージョン「Blender 4.4」の新機能・変更点について紹介したいと思います!
バージョンアップに伴って数多くの機能・改善事項が追加されましたが、その中で注目すべき内容をピックアップし、実際に触ってみながら紹介します!
参考:Blender4.4 公式リリースノート
Blender 4.4をインストールしよう!
Blenderは、オープンソースの統合型3DCGソフトで、誰でも無料で使うことができます!
今回紹介する最新バージョンのBlender 4.4では、アニメーションの新機能「アクションスロット」や新しいグリースペンシルシステムなど、さまざまなアップデートが加えられています。
まずは、Blender公式ページから、Blender 4.4をダウンロードしましょう!
Windowsのインストール版はダウンロードページの上のリンクから、それ以外のバージョン(macOS, Linux, Portable版など)は下のリンクからダウンロードできます。

Blenderのインストール・基本設定については、コチラの記事を参考に実施してみてください。

Blender 4.4の主要な新機能・変更点はコチラ!
本記事では、今回のバージョンアップの目玉となる以下の新機能・変更点について紹介します。
- Blender 4.4は安定性を重視!
- アニメーションの新機能・変更点
- アクションスロット
- ポーズライブラリーの改善
- グラフエディターのノイズモディファイアーの改善
- ビデオエディターの変更点
- テキスト編集の操作が楽に
- 複数行のテキストを適切に配置
- モデリングの新機能
- 接続する辺の個数で頂点選択ができるように
- 「三角面を四角面に」に「トポロジーの影響」が追加
- スカルプトの新機能
- ブラシタイプ「平面」の追加
- UI・ビューポート表示の変更点
- タイトルバーにテーマ色が適用
- 画面分割時のスナップ
- Fade機能の追加 – 影響を与えないノードがグレー表示
- マテリアルアイコンの変更
- Normalを表示する際に裏面のみ赤く表示されるようになった
- 編集モードで要素インデックス番号を表示できるように
- コンポジットの変更点
- ノード処理の高速化
- グレアノードが細かく調整可能に
- デノイズノードの品質オプション追加
- UVの新機能
- コピー・ペーストに対応
- グリースペンシルの変更点
- Blender 4.3でなくなってしまっていた旧バージョンのオプションを復元
- Cyclesの変更点
- Optixデノイザの改善
これらの変更によって、以前のバージョンと比べてBlenderでできることの幅が広がっていますので、ぜひBlender4.4をインストールして使ってみていただければと思います。
上記でピックアップした以外にも、Blender4.4では数多くの変更点があります。
Blender4.4の全アップデート内容一覧・詳細については、コチラのリリースノートを参照してください。
https://developer.blender.org/docs/release_notes/4.4
Blender 4.4は安定性・使い勝手が向上!
まず最初に紹介しておきたいのは、Blender 4.4へのバージョンアップにあたって安定性の向上が最も重視されたということです。
過去のバージョンアップと異なり革新的な新機能の導入はあまりありませんが、その代わり開発期間において不具合の洗いだしと潰し込みが徹底的に行われた結果、安定性が向上しました。
出典:Blender 4.4 リリースノート URL https://www.blender.org/download/releases/4-4/
これまでにBlenderを扱う際にエラーやクラッシュで困った経験がある方も多いと思いますが、そのリスクが下がったというのはBlender 4.4へのバージョンアップにおいて大きな安心材料になると思います。
また、以前のバージョンと比べて使い勝手もよくなっています。
これから紹介する新機能や機能改善も、作業性・操作性の向上に重点がおかれており、よりユーザー目線を重視した開発が行われてきた印象です。
アニメーションの新機能・変更点
Blender 4.4では、アニメーションの機能についていくつか新機能・機能改善のための変更が行われましたので、代表的な内容を紹介します。
アクションスロット
Blender 4.4の目玉機能のひとつが「アクションスロット」です。
これまでは「アクション」として定義できるのは1つのデータのみでしたが、アクション内に「アクションスロット」が追加され、複数のオブジェクトのアニメーションデータを1つのアクション内に設定できるようになりました。
出典:Blender 4.4 リリースノート URL https://www.blender.org/download/releases/4-4/
アクションスロットを使うことで、たとえば以下のようにオブジェクトの「マテリアル」と「位置」にそれぞれ設定したキーフレームアニメーションを、1つのアクションとして定義できます。

アクションスロットの設定方法は以下の通りです。



以前のバージョンですが、モデルの一つ一つの動きを管理・編集できる「アクション」の機能の詳細な説明についてはこちらの記事を参考にしてみてください。

ポーズライブラリーの改善
アーマチュアに追加したポーズをアセットブラウザーに登録できる「ポーズライブラリー」の機能にも改善が加えられて、ポーズの登録・編集を簡単に行えるようになりました。
ポーズモードでヘッダーの「ポーズ」から「ポーズライブラリーに登録」を選択することで、現在のアーマチュアのポーズがポーズライブラリーに登録されます。

ポーズライブラリーに登録したポーズアセットを右クリックすることで、ポーズアセットの調整・変更・削除ができます。

モデルのリグ(アーマチュア)のポーズを管理できる「ポーズライブラリー」の使い方については、以前の記事ですがこちらの記事にまとめてあるので参考にしてみてください。

グラフエディターのノイズモディファイアーの改善
アニメーションをグラフ上で調整する「グラフエディター」の機能にも変更が加えられました。
ノイズを追加する「ノイズモディファイアー」での調整パラメータに「空隙性」と「粗さ」が追加されました。

「深度」を0より大きい値に設定すると、この2つのパラメータが結果に影響を与えるようになります。

この変更の目的としては、以前のBlenderバージョンの不具合対策とのことです。
以前のバージョンで作成したファイルをBlender 4.4で開く際は、結果に影響を与えないように自動でパラメータが調整されるそうです。
アニメーションをグラフで調整できる「グラフエディター」の基本的な使い方については、こちらの記事を参考にしてみてください。

ビデオエディターの変更点
Blender上で動画編集を行うことができる「ビデオエディター」の機能にもいくつか機能改善のための変更が行われたので、代表的な内容を紹介します。
テキスト編集の操作が楽に
動画内に文字列を追加するテキストスロットの編集を行う際に、プレビュー画面上でテキストを選択し、Tabキーをクリックすることで文字を編集できるようになりました。
多数のチャンネルがエディター内にある場合に、テキストスロットを登録したチャンネルを探す必要がないため、操作性が良くなりました。

複数行のテキストを適切に配置
以前のバージョンでは1行しか描き込めませんでしたが、複数行のテキストを打ち込めるようになりました。
また、それにあわせて行の揃え位置を左・中央・右から選択できるようになりました。

モデリングの新機能
モデリングを行う際に便利な機能が追加されたので、代表的なものを紹介します。
接続する辺の個数で頂点選択ができるように
編集モードのヘッダーの「選択」→「特徴で全選択」メニューに、「ポールの接続数」が追加され、接続する辺(ポール)の個数で頂点を全選択できるようになりました。

この機能を追加することで、辺が多数集中する頂点を選択することができるようになり、トポロジーの修正などを行う必要がある箇所を見つける際に便利な機能です。

以下のポール数選択オプションがあり、状況によって使い分けることができます。
- 小さい…指定した値よりポール数が少ない頂点を選択
- 同じ…指定した値とポール数が等しい頂点を選択
- 大きい…指定した値よりポール数が大きい頂点を選択
- 違う…指定した値とポール数が異なる頂点を選択
「三角面を四角面に」に「トポロジーの影響」が追加
三角形のメッシュを四角形に変換する「三角面を四角面に」の編集メニューに「トポロジーの影響」が追加され、よりトポロジー的に綺麗な四角形メッシュを生成できるようになりました。

たとえば、以下の例では「トポロジーの影響」が0の場合は三角メッシュが残ってしまいますが、トポロジーの影響を1まで大きくすることで四角メッシュのみで構成されたメッシュを生成できます。

スカルプトの新機能
スカルプトについて新機能が追加されたので、代表的なものを紹介します。
Blender 4.4では、ブラシタイプ「平面」が追加されました。
平面ブラシは、「フラット化(Flatten)」「フィル(Fill)」「削り取り(Scrape)」の3つのブラシの機能が統合されたもので、高さのパラメータを設定することで任意の高さにフラットな面を生成することができます。
オブジェクトの凹凸をならしたり、凹凸面の中に意図的にフラットな面を作りたい場合に便利な機能です。

粘土のようにオブジェクトを造形する「スカルプト」の基本的な使い方については、以前のバージョンですがコチラで解説しているので、あわせて参考にしてみてください。

UI・ビューポート表示の変更点
Blender 4.4では視認性・操作性の向上のために、UI・ビューポートに多くの変更が加えられています。
代表的なものをいくつか紹介します。
タイトルバーにテーマ色が適用
Blenderはテーマを適用することでUI(ユーザーインターフェース)の色を自由にカスタマイズすることができますが、タイトルバーだけはWindowsやMacのデフォルトの色から変更することができませんでした。
Blender 4.4では、このタイトルバーの部分にもBlenderのテーマが適用されてウインドウ全体で統一感のあるデザインになりました。

Blender 4.3と比較すると、洗練されていてかっこ良くなっているのが一目瞭然です。

ちなみに、「編集」→「プリファレンス」→「テーマ」→「プリセット」から、簡単にBlenderテーマを設定できるので、Blender 4.4への更新と一緒に「模様替え」をしてみてはいかがでしょうか?

Fade機能の追加 – 影響を与えないノードがグレー表示
マテリアルノードやジオメトリノードなどのノードエディターにおいて、出力結果に影響を与えないノードのインプットがグレーアウトして表示されるようになりました。
以下のようにパラメータの値によって入力がスイッチするノードについても、どのノードを編集すれば出力結果に影響するかがすぐにわかるので便利です。

画面分割時のスナップ
画面分割する際のスナップ機能が追加されて、上下・左右の端や中央位置で簡単に画面分割できるようになりました。
細かい変更点ですが、作業効率が上がる便利な機能だと思います。

マテリアルアイコンの変更
こちらも一見わかりにくい変更点ですが、マテリアルプロパティのアイコンが左右反転されて、ワールドプロパティと見分けやすくなりました。

Normalを表示する際に裏面のみ赤く表示されるようになった
裏返っているメッシュを確認するために、ビューポートオーバーレイ上で「面の向き」のチェックをONにすると、以前のバージョンではメッシュの表が青く、裏が赤く表示されるようになっていました。

Blender 4.4では設定が見直され、デフォルトでは裏返っているメッシュのみが赤色に表示されるようになりました。

従来のバージョンではメッシュの表裏を確認したい場合にいちいちチェックのオンオフを切り替える必要がありましたが、メッシュの向きが裏返しになっていない状態であれば通常通り表示されるので、オンにしたままでも問題なく作業ができますね。
ちなみに、以前の表示に戻したい場合は、「編集」→「プリファレンス」→「テーマ」→「3Dビューポート」を開き、「面の前方向」のアルファの値を0より大きい値に設定してください。

編集モードで要素インデックス番号を表示できるように
編集モードでビューポートオーバーレイの「インデックス」にチェックをいれることで、要素のインデックス番号を表示することができます。
重複頂点を確認したいときなどに便利な機能です。

コンポジットの変更点
コンポジットの機能についても、使い勝手が向上する変更点があるので、代表的なものを紹介します。
ノードを使ってレンダリング結果に様々な効果を加えることができる「コンポジット」の基本的な使い方については、以前のバージョンですがこちらの記事で紹介しているので、あわせて参考にしてみてください。

ノード処理の高速化
Blender 4.4では、プログラムの最適化が行われた結果、レンダリングを行う際のコンポジットノードの処理時間が大幅に短縮されました。
アニメーションなどで大量にコンポジットの処理を行う場合は、大幅な作業時間短縮になりそうです。
出典:Blender 4.4 リリースノート URL https://www.blender.org/download/releases/4-4/
グレアノードが細かく調整可能に
光の放射を表現できるグレアノードの機能が改善されて、放射の色などを細かく調整できるようになりました。
出典:Blender 4.4 リリースノート URL https://www.blender.org/download/releases/4-4/
以下のように、「チント」の色を調節することで放射の色合いを変えたりすることができるようになり、表現の幅を広げることができます。

デノイズノードの品質オプション追加
デノイズノードで、品質オプションを調整できるようになりました。
仕上がりの美しさとレンダリング時間のバランスを考慮して、デノイズの品質を調節できます。

UVの新機能
Blender 4.4では、UVエディターにコピー・ペーストの機能が追加されました。
こちらのように、複数のオブジェクトを選択した状態で片方のUVのアイランドの位置をショートカットキー「Ctrl+C」でコピーし、他方のオブジェクトに「Ctrl+V」でペーストすることができます。

テクスチャをUV平面にマッピングする「UV展開」の基本的なやり方については、こちらの記事を参照してください。

グリースペンシルの変更点
グリースペンシルにも、使い勝手を良くするための機能改善が追加されています。
前回のバージョンアップ(Blender 4.3)では新しいブラシシステムが導入された結果、グリースペンシルの機能も一新されました。
その結果、Blender 4.2以前のバージョンで使えていた一部機能の修正が間に合わず、Blender 4.3では使えなくなっていました。
Blender 4.4ではその点が改善されており、以下のとおり多くの機能が復活しました。
- ドローモード「ストロークの基準」でのストローク補間機能
- 自動マスク機能
- 編集モード「ストロークを簡略化」の「固定」「サンプル」「マージ」オプション
- 編集モード「開始ポイントを設定」オプション
- グリースペンシル投げ縄消しゴム
- メッシュ・カーブをグリースペンシルに変換時の「幅」「ストロークオフセット」「面をエクスポート」オプション
- 「レイヤーで貼り付け」オプション
以前のバージョンを使っているユーザーのニーズに寄り添った、良い変更だと思います。
「ストロークの基準」でのストローク補間機能の使い方
「ストロークの基準」で「ストローク」を選択してストロークA, B間をドローモードで描画した際に、AとBの間を補間するように描画できます。

グリースペンシル投げ縄消しゴムの使い方
Ctrl+Alt+右クリックで、投げ縄選択したストロークポイントを削除できます。

絵を描くように2D・3D空間上にモデリングできる「グリースペンシル」の基本的な使い方については、以前のバージョンですがコチラで解説しているので、あわせて参考にしてみてください。

Cyclesの変更点
Nvidia製GPUで使用できるOptixデノイザの改善が行われ、デノイズ品質が向上しました。
リリースノートによると、元の色の再現性が向上し、均質かつディテールを保った状態でデノイズできるようになったとのことです。

Blender標準搭載の物理ベースレンダラー「Cycles」のレンダリングのコツ・トラブルの対処法については、こちらの記事を参考にしてみてください。

まとめ
Blender 4.4で新しく追加・変更された機能について、使い方・使用例を解説してみました。
どれも便利で面白い機能なので、ぜひ皆さんもBlender 4.4をインストールして試してみてください!
Blender 4.4の主要な新機能まとめ
- Blender 4.4は安定性を重視!
- アニメーションの新機能・変更点
- アクションスロット
- ポーズライブラリーの改善
- グラフエディターのノイズモディファイアーの改善
- ビデオエディターの変更点
- テキスト編集の操作が楽に
- 複数行のテキストを適切に配置
- モデリングの新機能
- 接続する辺の個数で頂点選択ができるように
- 「三角面を四角面に」に「トポロジーの影響」が追加
- スカルプトの新機能
- ブラシタイプ「平面」の追加
- UI・ビューポート表示の変更点
- タイトルバーにテーマ色が適用
- 画面分割時のスナップ
- Fade機能の追加 – 影響を与えないノードがグレー表示
- マテリアルアイコンの変更
- Normalを表示する際に裏面のみ赤く表示されるようになった
- 編集モードで要素インデックス番号を表示できるように
- コンポジットの変更点
- ノード処理の高速化
- グレアノードが細かく調整可能に
- デノイズノードの品質オプション追加
- UVの新機能
- コピー・ペーストに対応
- グリースペンシルの変更点
- Blender 4.3でなくなってしまっていた旧バージョンのオプションを復元
- Cyclesの変更点
- Optixデノイザの改善