VRChatでボイスチェンジャーを使うには？基礎知識を解説

VRChatでは、ボイスチャットは基本的に地声で行いますが、ボイスチェンジャーを使って声を加工する方もいます。

ボイスチェンジャーを使うと、例えば男性が女性のアバターを使っている際に外見に合った女声を出せるようになったり、自分とは全く違う自分になったかのような感覚になれます。

現在では無料で使えるボイスチェンジャーや、UIや操作が簡単なものまで多くの選択肢があり、以前よりもぐっと身近な存在になりました。

当記事では、初心者の方でも使えるボイスチェンジャーや必要な機材、またそれらの特徴について解説します。

ボイスチェンジャーで「新しい自分」になろう

ボイスチェンジャーというと、少し前までは主にVtuberが使っているイメージがありましたが、現在ではその導入ハードルの低さからVRChat向けに使うケースが増えています。

VRChatでボイスチェンジャーを使うと、外見だけでなく声も変えることでよりバーチャル世界に没入しやすくなったり、自分の声が好きになれない方にとっての自己表現ツールにもなります。

ボイスチェンジャーとは？

ボイスチェンジャーとは何か、殆どの方はざっくりと知っていると思いますが、ここで一度ボイスチェンジャーとは何なのかについて詳しく解説します。

ボイスチェンジャーとは、入力された音声を調整、加工する技術やデバイスのことで、ユーザーの声のピッチ（高低）とフォルマント（声の特徴）の2つの音声要素を技術的に加工して、声に高低を生み出したり、地声とは全く異なる声色に変えることができます。

現在では様々なボイスチェンジャー用のアプリやハードウェアが利用できますが、中には無料で使えるものや、簡単に操作できるUIを備えたものまで多くの種類があります。

2種類のボイスチェンジャー

ボイスチェンジャーは大きく分けて2種類あり、フィジカルな機材を用いるハードウェアボイスチェンジャーと、アプリのみで動作するソフトウェアボイスチェンジャーがあります。

どちらを選ぶかによってパフォーマンスやコストに大きな差が出るので、両者の基礎的な知識をしっかりと把握しておきましょう。

ハードウェアボイスチェンジャー

ボイスチェンジャーの中でも、ボーカルエフェクターという物理的な機材で声質を調整するタイプのものをハードウェアボイスチェンジャーと呼びます。

ボーカルエフェクターは元々は楽曲制作で使用する機材ですが、これをボイスチェンジャーとしてVRChatで活用することができます。

ハードウェアボイスチェンジャーは、下記で述べるソフトウェアボイスチェンジャーよりも音声に遅延やラグが起きにくいのが特徴です。

ボーカルエフェクターの価格は、下記で説明するVT-4の場合は約2万円ほどしますが、高すぎる価格ではないので比較的導入はしやすいと言えます。

ソフトウェアボイスチェンジャー

もう一方のソフトウェアボイスチェンジャーは、物理的な機材を用いずにボイスチェンジャー用のソフトだけで完結する方法です。

下記で詳述しますが、ソフトウェアボイスチェンジャーは様々なソフトがあり、中にはスペックはやや劣るものの無料で利用できるものもあります。

操作の複雑な機材がなくても簡単に使えることと、またハードウェアボイスチェンジャーに比べてランニングコストが低い点もメリットです。

ですが、ソフトウェア上のみで音声信号を処理するため、音声遅延が発生しがちというデメリットがあります。

VRChatは基本的に会話でのコミュニケーションが大半なので、こうした音声の遅延が会話や場の空気を阻害してしまうので、出来るだけ良いソフトを使う方がベターです。

おすすめのボイスチェンジャー機材・アプリを紹介

ここまで、ボイスチェンジャーの種類と特徴について解説してきましたが、実際にどんなボイスチェンジャーがあるのか、具体的に見た方が分かりやすいでしょう。

以下では、ハードウェア・ソフトウェア双方のボイスチェンジャーの中から代表的なものをいくつか選んでご紹介します。

ハードウェアボイスチェンジャー

殆どのVtuberやVRChatプレイヤーが使っているハードウェアボイスチェンジャーは下記のローランド・VT-4で、それ以外の機材をほとんど見かけないと言っても過言じゃないぐらいです。

VT-4 VoiceTransformer

SNSのFAQなどでもよく話題になるボイスチェンジャー機材なのでノウハウが共有されやすく、ハードウェアボイスチェンジャーの導入を検討しているのであればおすすめです。

本体にマイクをつないで、フォルマントとピッチを変えて声質を変えることができます。

プリセットのエフェクトも多種類あり、合計で5種類 x 4バリエーションのエフェクトと、20種類以上のプリセットが利用できます。

使い方も簡単で、基本的にはUSB経由でPC接続しますが、単3電池4本でスタンドアロンでも動作するので、イベント会場などで使う時に便利です。

Roland

Roland - VT-4 | Voice Transformer VT-4: Voice Transformer - 自分だけの声を手に入れよう

音響機材は基本的にボタンやツマミだらけで複雑なイメージがありますが、VT-4は比較的ツマミやボタンが少なく扱いやすいのも特徴です。

VT-4は「バ美肉」の文化があるVtuberも多く使っている機材で、有名どころではねこます氏や魔王マグロナ氏などが挙げられます。

ソフトウェアボイスチェンジャー

一方のソフトウェアボイスチェンジャーは選択肢が多く、無料のものから高性能なものまで用途に応じて様々です。

バ美声

初心者向けであれば、UIが分かりやすくて簡単に使える「バ美声」がおすすめです。

バ美声で調整した声をVRChat内で発するには仮想オーディオデバイスが必要になりますが、現在ではYAMAHAの「SYNCROOM」や無料で使える「VB-CABLE」などがあります。

バ美声の特徴として、シンプルなUIに加えて遅延軽減機能やループバック機能を備えており、安価ながら非常に多機能なことが挙げられます。

あわせて読みたい

バ美声製品版ver1.05 #バ美声製品版 - はんそで工房 - BOOTH 低遅延、高品質を目指したボイスチェンジャーです。2018年9月頃から開発をはじめ、約3年のβ期間を経てようやく製品版となりました！ ※β版は使用禁止となりますが、製品版に...

デモ版も配布されているので、製品版を購入する前に一度試してみるのも良いでしょう。

恋声

ボイスチェンジャーをちょっとだけ試したみたい、という方であれば無料で使える「恋声」がおすすめです。

上記で述べた魔王マグロナ氏も以前使用していたソフトで、リアルタイムでの音声調整や、WAVファイルをロードして行う音声変換も可能です。

他のソフトウェアボイスチェンジャーに比べてUIがやや複雑ですが、プリセットの中には男声を女声に変えるもの、また女声を男声に変えるものなども含まれています。

ボイスチェンジャーの基本機能は使えますが、途中で声が途切れるケースも報告されているので、ヘビーユーザー向けではないようです。

RVC（AIボイスチェンジャー）

最近話題になっているのが、ボイスチェンジャーにAI技術を活用した、いわゆるAIボイスチェンジャーです。

AIボイスチェンジャーではAIを用いてより高度な音声調整が可能になり、例えば特定のボイスの特徴をAIが学習してオリジナルの声質を作り出したり、様々な声質を融合することができます。

AIボイスチェンジャーで一番有名なのが「RVC（Retrieval-based Voice Changer）」で、数多くのVtuberやVRChatプレイヤーが利用して注目を集めています。

あわせて読みたい

Koemake Project Windowsで使える！AIボイスチェンジャー無料ダウンロードサイト

従来では、ボイスチェンジャーは地声を直接調整するので変えられる声質には限りがありましたが、AIボイスチェンジャーではボイス変換度の自在性が向上します。

ですが、AIボイスチェンジャーは発話時のリアルタイムでの調整時に遅延が大きく発生しやすいため、現時点でリアルタイムでのコミュニケーションにはまだ不向きなようです。

このため、AIボイスチェンジャーは配信よりもコンテンツ制作などの領域で役立ちそうですが、AI技術は日々進化しているので、そう遠くないうちにリアルタイムの会話にも対応すると予測されます。

まとめ

ボイスチェンジャーは一般的にあまり馴染みがありませんが、VRChatやメタバースでは没入感を上げるための有効なツールになります。

現在では無料で利用できるボイスチェンジャーや、簡単に使えて高機能なものまで豊富にあるので、一度試してみてはいかがでしょうか。

最後に、今回のまとめです。